2002/06/06(木)

Partial Panel

本日も良い天気です。本日は16時からのフライトなので、いつもよりのんびりできます。だからというわけでもないのですが、起きたら昼でした(^^;)。昨日の夜、自作のチェックリストをレターサイズにするのにはまって、寝たのが朝5時くらいだったせいでしょう(^^;)。

さて本日のフライトは、partial panelです。これはバキューム系がイカレたことを想定して、attitude indicator (AI)とheading indicator (HI)を隠して残りの計器だけで飛ぶ訓練です。他のairspeed indicator (A/S)、turn coordinator (TC)、altimeter (ALT)、vertical speed indicator (VSI)、tachometer (TACH)、compassは生きています。

いつものように、right crosswind departureで訓練空域に向かいます。上昇中にフードを被り、しばらく教官の指示の通りの高度やヘディングで飛びます。これはfull panelでやっているので、問題ありません。さてここで、教官がAIとHIにシールを貼ります。これでpartial panelとなりました。

まずstraight-and-levelです。ピッチのprimaryはALTなのでAIがなくても問題ないのですが、バンクのprimaryであるHIがないので、TCとcompassを使ってバンクを制御します。AIがないってのは心もとない感じもしますが、思ったほど「やばい」感じはしません。ただ、TCとcompassは論理的に1つの計器のごとくペアで捉えなければならないのですが、これらは物理的に離れているので、スキャンが忙しいです(^^;)。また、compassの「数字」側に自分が乗っていると思って制御する、ということがうまくできました。イメージトレーニングの成果です(^^)。

但し、HIに比べてTCは敏感ではないし、compassは揺れがあるので、気をつけていないといつの間にか微妙にバンクしていたり、ヘディングが変わっていたりします。そういう場合にも慌てないで、少しずつ修正するようにします。おぉ、思ったよりうまく制御できます。いい感じ(^^)。

次にclimbです。ピッチアップの姿勢に持って行く時のprimaryであるAIがないので、どのくらいのピッチで固定すべきかわかりません。ですからsecondaryのVSIや、上昇姿勢が確立した後のprimaryであるA/Sを見ながら、徐々にVyに合わせて行きます。Vy近くなったらパワーを入れます(Warriorの場合はフルスロットル)。この時、ピッチに気を取られていると、バンクやヘディングがずれます(^^;)。おっとっと、ここでも少しずつ修正です。なかなかいい感じです(^^)。

descendもclimb と同じ要領です。但し、climbに比べてピッチ操作をそんなに積極的にしなくて良いのでちょっとだけ簡単です。これもいい感じ。

次にturnです。これはcompass turnとなります。まずはEまたはW方向に向かって何回かturnをします。バンクはTCでstandard rateを保ちながら、ヘディングはcompassで確認します。ピッチはALTとVSIで確認できるので問題ありません。EまたはW方向へのturnではcompassにエラーが出ないので、オーバーシュート・アンダーシュートを考えなくて良いです(^^)。まずはこういうturnから練習するのですね。

その後、climbing turn、descendig turnを行います。これは今までの組み合わせですね。

さて、ここから「エラーを考慮したcompass turn」の練習です。まずは一番エラーの大きいNまたはS方向へのturnです。北半球では、N方向へのturnはcompassの指示がアンダーシュートするので、早めにロールアウトする必要があります。反対にS方向へのturnではオーバーシュートするので、目的とするヘディングを行き過ぎてからロールアウトする必要があります。アンダーシュート・オーバーシュートの量は、経度とバンク角に依存します。Ramonaあたりで、小型機のstandard rate turnのバンク角だと、大体30°くらいとなります。このエラーはmagnetic dip (地球の磁力線が、極に近くなるほど地面と平行でなくなること)によるものです。

【参考】厳密に言うと、N側は最大「経度 + バンク角の半分」だけアンダーシュートし、S側は最大「経度 – バンク角の半分」だけオーバーシュートします。Ramonaあたりの経度は33°、Warriorのstandard rate turnのバンク角は約15°ですから、本当はN側は最大40°アンダーシュートし、S側は最大25°オーバーシュートします。ですが、これ自体rule of thumbだし、実際に飛ぶとそんなにぴったりと行くわけでもないので、まずは大雑把に「30°」という目安でロールアウトし、その後微調整すれば良いのです。

おぉ、これはまさに理屈通りです。right turnでNに向かうには、compassが330°あたりでロールアウトします。そうすると、compassがスーっと追いついて来てほぼNを指します(^^)。left turnの場合は030°でロールアウトですね。

反対に、right turnでSに向かうには、compassが210°あたりでロールアウトします。そうすると、compassがスーっと戻って来てほぼSを指します(^^)。left turnの場合は150°でロールアウトですね。これはやってみて納得です!

今まではEとかWとかNとかSとか、切の良いヘディングでしたが、今度は「中途半端な」ヘディングにチャレンジです(^^)。教官が210°とか150°とか030°とかのヘディングを指示しますので、それに従ってturnします。中途半端なヘディングでは、アンダーシュート・オーバーシュートの量が30°よりも小さくなります。その量は大雑把に、NやS方向が最大で30°、EやW方向がエラーなし(0°)なので、比例配分すると一次近似として、

ヘディングcompassのエラー
090° (E)
120°10°オーバーシュート
150°20°オーバーシュート
180° (S)30°オーバーシュート
210°20°オーバーシュート
240°10°オーバーシュート
270° (W)
300°10°アンダーシュート
330°20°アンダーシュート
360° (N)30°アンダーシュート
030°20°アンダーシュート
060°10°アンダーシュート
ヘディングとcompassエラーの関係

てな感じになります。頭の中にコンパスローズを描いて、今のヘディングとの相対関係(right turnかleft turnか)を把握してロールアウトの位置を決める必要があり、いわゆる「空間能力」が要求されます。まぁ慣れってのもあるでしょうが(^^;)。

次に、中途半端なヘディングへのturnのもう一つの方法としてtimed turnを行います。例えば今120°を向いているとします。ここからright turnで210°にするには、compassが220のあたりでロールアウトすれば良いわけです。でもいちいちオーバーシュートの量を意識するのではなく、「210°へは90°turnすれば良いのだから、standard rate turnで30秒」とするわけです。

ロールインしてタイマをスタート。TCでstandard rate turnを意識して、30秒後ロールアウト。おぉ、ほぼ210°です(^^)。同じ要領で180°turnなんかもやってみました。これもOKです。

というわけでRamonaに戻ります。フードを取ると相変わらずの快晴。クロカンにでも行きたいところですが(^^;)、それは後のお楽しみとしておきましょう。

ブリーフィングでは「コントロールに関しては特に言うことはありません。very goodです。コレクションも今の感じでOKです。あれ以上大きくするとオーバーコントロールになりますから。また、compass turnもvery goodです。ちゃんとお家でイメージトレーニングして来たことがわかります。」を頂きました(^^)。

明日は座学で、あさって土曜日はお休み。次回フライトは6/9 (日)となります。full/partial panelでのunusual attitude、VOR intercept/trackingをやる予定です。

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