米国での初飛行
朝8:00起床。ちょっと雲が多い感じのヒンヤリした朝です。
前日に買っておいたミルクとシリアルで朝食をとり、9時過ぎにTKDさんとRamona空港に向かいます。本日の車の運転手はTKDさんです。TKDさん曰く「右車線を走るのはそんなに違和感がないが、左ハンドルは違和感がある」とのこと(^^;)。
9:30になり、教官にチェックリストについての説明を受けます。本日はまず私がフライトしますので、その後実際に飛行機を使ってプリフライトチェックをします。セスナより若干チェック項目が少ないような気がしますが、基本的に日本での訓練を受けた時と同じノリなので、あまり戸惑いはありません。
機内に乗り込み、各種チェックを開始します。朝の曇りがちな天気からほとんど雲がない晴天に変わっていたこともあり、機内は暑いです。外は日差しが強い割には空気が乾燥している感じのカラっとした爽やかな感じです。後で気づきましたが、半袖でちょっとうろついただけで、すっかり腕が焼けてしまいました。腕時計の跡が残るくらい。
Before Startチェック、Starting Engineチェックを行い、エンジンを始動します。この時日本では”Contact!”と言うところを”Clear!”と言うのは日本の訓練でADC教官に聞いていた通りです。でもこのPiper、エンジンのかかりが悪いです。でもそれはどの機体も同じとのことで、何回かプライマーを使ったり、スロットルを開閉したりしないとかかりません(^^;)。ようやくエンジンがかかりました。
次にBefore Taxiチェックをして、タクシー開始です。うーん、初めてのPiperの操縦かぁ。ちょっとドキドキです。ここRamona空港では、タクシーするための黄色いラインが引いてあり、それに沿って進めば良いのであまり戸惑わなくて済みます。エアラインのパイロットになった気分です(^^)。
タクシーウェイをR/W 27に向かって進む時に、During Taxiチェックを行います。これもチェックリストを見ながらすることになっているので、ちょっと慣れないと戸惑います。チェックの方にCPUパワーがとられるとタクシーが疎かになってセンターを外れたりします(^^;)。まぁでも基本的にタクシーは問題なしです。
ランナップエリアで機体を風上に向け、Before Takeoffチェックを行います。ランナップエリアが広いので、ブレーキを使わない小回りで十分です。R/Wに入る直前まで進み、ベース、ファイナルを確認し、テイクオフポジションに着きます。おぉ、R/Wが広い! 長い!
ブレーキをかけながらフルスロットル! 機体が振動と音で震えます。そしてブレーキをリリースして離陸開始! 足っ! 足っ! でセンターをキープします。Vrはセスナと同じ55ノットですが、何となくVrに達するまでの時間がPiperの方が長い気がします(※)。そしてVr、ローテーション! ちょっとだけ右ラダーを加えますが、確かにセスナよりはラダーを使う量が少なくて済むようです。離陸は基本的にあまり問題なしです。
(※Ramona空港は標高が1395ftと比較的高いので、密度高度(Density Altitude)が高くなります。なので、加速も遅くなるし対地速度(Ground Speed)も速くなります…というのがわかったのはずっと後の話です。)
Vy (79ノット)を保ちつつ上昇して行きます。2000ftで北よりに進路を変え、2400ftでClimbチェックを行い、更に上昇を続けます。このときやはりチェックにばかり気をとられると機体のコントロールが疎かになり勝ちです。気をつけなくっちゃぁ。
本日はめずらしく雲が点在する天気とのことで、雲の切れ目から4500ftくらいまで上昇して雲の上で旋回や上昇/降下を行います。これも基本的に問題なしです。
降下時にキャブヒートをホットにする必要は(特にこの時期は)ないので間違ってオルタネートエアーのノブを引き抜いてあつくなってしまう心配はありません(爆)。といってもPiperのキャブヒートはノブではなく、レバーを上下するタイプなので、間違いようがないですが。
さて今回の訓練はこれまでで、空港に戻ります。空港の西南に位置するMt. Woodsonとかいう山をめがけて帰ってきます。その途中でBefore Landingチェックを行いますが、これもチェックリストを見ながらやるので機体のコントロールに要注意です。その山にぶつからないようにして進路を東に向け、R/Wを南西から45度に見る位置からR/Wに向かい、ダウンウィンドにエントリします。レフトトラフィックパターンとなります。
ダウンウィンドを進み、ベースターンの位置に近づいたらスロットルを1500rpmに絞り、対気速度を落とし、フラップを1つ下げます。車のサイドブレーキのようなレバーを自力で引き上げるのですが、思ったより重くありません。ベースターンを行い更にフラップを下げます。教官の指示によると、ベースレグがかなり近い感じがします。ベースレグの位置はある程度の幅があり、人によって異なるようです。
ベースターンが近いということは、ファイナルターンもあまりのんびりしていられません。左手にデカデカと見えるR/Wを確認しながらファイナルターンです。もうR/Wはすぐそこ! という印象です。ピッチで対気速度を63ノットに保ち、足っ! 足っ! でセンターを合わせます。降下率のスロットル操作も教官の指示の元自分で行います。
R/Wの末端でスロットルをアイドルにして、緩やかにフレアをかけます。沈み込みに合わせてピッチアップ…もう少し…といっている間にキュパっ! とタッチダウンです。あれっ? ストールホーンがならなかったなぁ。後で教官に聞いたところフレア時は教官が一緒に補助してくれていたそうですので、やっぱ引きが甘かったのかもしれません。また、ストールホーンが必ずしも鳴らなくても良いようです。機体によっても鳴りやすいやつとそうでないやつがあるのだとか。
センターに合わせて滑走し、R/Wの端っこまで行かない出口でタクシーウェイに出ます。これよりもまだ先にR/Wは続きます。でっかい双発機の着陸も余裕です。
タクシーウェイに出た所でAfter Landingチェックを行い、タクシーして駐機場まで戻ってきます。Shutdownチェックを行い、エンジンを停止します。ふぅ、まずは無事に飛べて一安心です。車を駐車場にバックで入れる要領で、人力で機体を押して、バックさせて駐機します。この時前輪の方向を制御するための棒(Tow bar)がちゃんと機体に積んであります。
最後にSecuringチェックを行い終了です。この時Hobbsメーターで飛行時間を記録するなどします。今回のフライトは0.6です。36分ですね。日本での訓練では最低でも45分、通常1時間以上飛んでいましたので、36分なんかあっという間でした(^^)。逆にちょっと物足りないくらい。今回はまずはPiperという飛行機に慣れることが目的でしたのでしかたなしです(←もうこんな一丁前な口をきいている)。
さてここで昼食をとります。教官の車で何人かで近所のSubwayまで行ってサンドウィッチを仕入れてきます。相変わらず飲み物のカップがバカでかい! のは笑えます。
R/Wのそばに薄い屋根つきベンチがあるので、そこでTKDさんと昼食をとります。その間も低翼機や高翼機、双発機が入れ違いで離着陸していて、見ていて飽きません。
さて15時からはTKDさんのフライトです。これはビデオで押さえさせてもらったので、後の上映会が楽しみです。
17時からは座学です。Straight & Level、Climb、Descend、Turnなどのお勉強です。各種諸元を再確認します。これはセスナの場合とほとんど同じなので、全く問題なしです。
明日(4/29)、メディカル(※)に行くことになっているので、その予習も行います。身長69.3in、体重166.7lbsってのは覚えておかないとならないです。ちなみに後で辞書で調べたところ、なんでpoundの省略形がlbなのかというと、ギリシャ語のlibra (てんびん)から来ているようです。
(※航空身体検査のこと。)
本日はこれにて終了です。
帰宅途中に昨日のスーパーで買い物しようと立ち寄ると、昨日とは雰囲気が違います。ちゃんと生鮮食品もあります。どうやら昨日入ったのはその隣のドラッグストアだったようです(笑)。そりゃ生鮮食品なんかないわな。
このスーパーには、サッポロ一番とかおにぎり用ののりとか、結構日本食があり驚きです(←日本食なのか、これ?)。きっとRamonaには日本人なんて我々Skyline関係の人しかいないと思います(実際本当にそうらしい)ので、ちょっと意外です。きっと日本人が入れ替わり立ち代りやってくるので、結構需要があるのかもしれません(^^)。
その後夕食をTKDさんと外でとろうと車で繰り出し店を探しましたが、昨日のDenny’sを過ぎるともうあまり店がなかったので、結局Denny’sにしました(^^;)。でも私、個人的には安心して入れる店なので気に入っています。
夕食後部屋に戻り、ルームメイトのKSMさんも交えビデオの上映会です。部屋のテレビはHITACHIの「手回しチャンネル」のふっるいものですが、これにビデオ(モノラル)がつながっているので、ビデオの外部入力を介してテレビにビデオの画像を映します。人の映像を見るのはとても楽しいものですが、TKDさんは自分の映像を見てとてもあつそうでした(^^;)。でもとても貴重な画像がとれました。
というわけで、Ramonaの2日目は終了です。