2002/08/13(火)

Grand Canyon方面へ

本日から4日間、Grand Canyon方面へ行くことにします。せっかくこっちにいるんだから、少しは観光もしないと(^^;)。もちろん移動は飛行機ですので、フライトの訓練の一環という意味合いもあります。題して、

アリゾナ・ネバダ 850マイル編
― グランドキャニオンナショナルパーク、メテオクレータ、ペトリファイドフォレストナショナルパーク、ウォールナットキャニオンナショナルモニュメント、フーバーダム/ラスベガス上空飛行

# なが!(^^;)

本日は朝から良い天気です。出発準備をしているだけで汗が流れて来ます。クロカンに必要なチャートだのPilots Guideだのを持っているのはもちろん、保険としてIFRのエンルートチャートだのアプローチチャートだのも持っているので余計カバンが重いです。それにお泊り用の荷物と、途中で「餓死」しないための「おやつ」も持っているから尚更です(^^;)。

グランドキャニオンまでは2レグで行きます。まずはRNMからAvi Squilla (P20)です。

ちなみにP20はBlytheから40nm NEくらいにあるノンタワー空港ですが、Colorado川を渡ったArizona側にあるので、CaliforniaのPilots Guide (青色のバインダ)には載っていません。Pilots Guideのシリーズには他に、

  • Pilots Guide to Southwestern Airport (オレンジ色のバインダ)
  • Pilots Guide to Northwestern Airport (緑色のバインダ)

てのがあるんですが、この「オレンジ本」に載っています。私はこれらを全部持ってますので(^^;)、ここら辺りを飛ぶための情報は全て手に入ります(^^)。特に今回のようにCaliforniaより東方面に行く時は、オレンジ本が大活躍します。

P20まではNRKの担当です。NE方向に出発してJLI方面に向かいます。ところが、JLIあたりの山火事のせいで、JLIの北側はNOTAMでtemporary flight restrictionが出ていて飛べません。仕方ないので、JLIの南側を迂回して行きます。Julianの山の上空では山全体が黒く焼けているのが見えます。ひぇー! これ全部燃えちゃったのかよー!

V460に乗り直し、SHADI intを突っ切ってV432でParker VOR (PKE)に向かいます。9500ftでクルーズしているのですが、OATは20度以上でしかも日差しが常に進行方向から当たるのでとても暑いです。PKEからP20はすぐです。

降下して行くともっと暑くなります。パターンに入るととってもバンピー(^^;)。無事P20に到着。でも、暑い! 暑すぎる! なんだこれ! 風が熱風です。CXLよりも暑いんじゃないでしょうか(^^;)。

給油をしたいのですが、FBOの建物に行っても誰もいません。冷房が効いていて涼しくて良いんですけど。別棟のLoungeに行ってみると、係りの人がいたので給油をお願いしておきます。

さて出発です。出発準備をしていると、何しろ暑すぎて具合が悪くなりそうです(^^;)。

次はGrand Canyon National Park (GCN)までです。ここは私の担当です。P20を出発してDrake VOR (DRK)方面へ。density altitudeが高いせいで上昇率が悪いですが、少しずつ登って9500ftでクルーズします。

DRKからは北上して行きますが、だんだんとAGLが低くなってきます。それに従ってどんどんバンピーになって行きます。ダウンドラフトやアップドラフトのせいで、高度を維持するのがかなり難しいです。ピッチアップでVx上昇の姿勢かつフルパワーなのに300fpmで「降下」して行くかと思いきや、ピッチダウンでスロットルを絞っているのに1000fpmで「上昇」する時もあります(^^;)。でもなんとかかんとかこれらを押さえ込みます。

ところでですね、DRKのあたりにはPrescottという町があります。その東側にはPrescott Valleyという町もあります。チャートでは町の部分が黄色で示されていますが、Prescott Valleyの方はきっちりとした十字架の形をしています。いくらなんでもそんなにきっちりとした十字架のはずがないです(^^;)。近くを通っても、ほーら、そんな形はどこにもありま…と思ったら、なななんと! あ、ありました! ルートから離れているので、横から眺める格好となりますが、確かに巨大な十字架の形をした町が見えました! ひえー! 周りが砂漠色なので、余計にはっきりと輪郭が見えます。お、恐るべし! それにしてもなぜに十字架!?

さてGCNから20nmくらいになりました。GCNは観光フライトのトラフィックが激しいため、20nm手前からタワーにコンタクトする必要があります。タワーにコンタクトするとright trafficでR/W 21と指示されます。

GCNの標高は6606ftなのでパターンは7606ft (!)です。降下して行くとグラウンドスピードがかなり速いことがわかります。GCN in sight。まだはっきりとはわからないですが、空港の北側にグランドキャニオンらしき谷がうっすらと見えます。

right downwindに入ると、他のトラフィックの都合でdownwindをエクステンドさせられます。でも、すぐ北側はspecial air traffic ruleが適用される空域です。おいおい、大丈夫かよーと思っていると、left 360させられます。その後ようやくcleared to land (^^)。右からのクロスウィンドですが、なかなかうまく着陸できました。

グラウンドにコンタクトしてtransient parkingに向かいます。GCNは基本的に観光客用のエアラインとかローカルな観光フライト会社のトラフィックがほとんどで、我々のような小型飛行機はあまり飛んでいません。transientのスペースもそんなに広くなく、我々の他には5機くらいしか止まっていません。

Grand Canyon AirlinesというFBOに行き、給油をお願いしておきます。駐機は1泊ですが給油すれば駐機代はかからないようです。精算は翌日出発する時でOKです。

さて、ここからグランドキャニオンの South Rim Village (以降、「ビレッジ」)というところまで行くのですが、専用のバスかタクシーで行く必要があります。FBO の人に聞くとタクシーを呼んでくれるというので、タクシーで行くことにします。

FBOの建物(観光フライト用のターミナルを兼ねている立派なもの!)を出て外で待っているとタクシーがやってきました。タクシーといってもバンみたいなもので、どうやら乗合タクシーのようです。我々の他にも何人かを乗せて出発です。タクシー代は$10/グループ、ビレッジの入場料は$8/人なので、合計で$26支払います。

ここら辺りは標高が高いせいか、CAではあまり見られない松などの針葉樹がたくさんあります。「高原の森」という雰囲気です。しばらく北上するとビレッジのゲートがあります。ここでタクシーの運ちゃんが我々を代表して入場料等を支払ってくれます。

ビレッジ到着。我々が泊まるYavapai Lodgeの前で降ろしてもらいます。フロントに行ってチェックインしますが、ちょうど他の団体さんが到着したタイミングだったらしく、チェックインは長蛇の列! 15分くらいしてようやく我々の番です。

ところでですね、フロントの壁には時計が掛けてありますが、そのそばに「この時間が『正しい』時間です」と書いてあります。AZはMSTなので、CAなどのPSTに比べて1時間早いはずなんですが、はて、これではPSTと同じじゃないですか!? ひょっとしてAZは夏時間がないのでしょうか? そうであればつじつまが合います。ちょっと謎です。でも、おかげで1時間余裕ができました(^^)。

我々が泊まるロッジは、この建物から数百m離れた所にあります。そこまで荷物を担いで移動します。これがちょっと重くてヒーヒーです。部屋についてちょっと一息入れます。いいですねぇ。高原のロッジという雰囲気です。

さて、あまりゆっくりとしていてはいけません。グランドキャニオンの「夕日」を見に行きましょう! ここからだとYavapai Pointという場所が一番近いです。ビレッジ内を走るシャトルバスでも行けますが、林の中を通るトレイル(遊歩道)があるので、それで行ってみることにします。距離的には2km程だし、高低差も無いので、散歩という感じです。

トレイルは松林の中を通っています。舗装されているので歩きやすいです。林の中は自然そのものが保管されていて、倒木なんかもそのままになっています。歩いて行くと、だんだん松林の終わりという感じになってきます。これが終わると海があるんじゃないかというような雰囲気。

そして松林が終わって目の前が開けた瞬間、ババババーーン! とグランドキャニオンが! わーぉ!!! こ、これがうわさのグランドキャニオンかー! お、恐るべし! 昇仙峡の何百万倍あるんだってくらいすごいです(笑)。こんな地形が自然に出来たとはにわかに信じがたいです。自然の、そして地球の力の懐の深さを感じてしまいます。

トレイルは崖のすぐそばを通っているのですが、思ったより谷が深くて、腰が引けてしまいます(^^;)。年間数十人がここから滑り落ちているそうです。もう手足が汗でびしょびしょです(^^;)。

崖沿いのトレイルを歩いてYavapai Point到着。このあたりでちょうど夕日が沈むタイミングでとても美しいです。ただでさえ起伏のある地形が夕日に照らされて更にそのコントラストを強めます。こりゃすごい!

暗くなるまでまだちょっと時間があるので、そこから更に東側のMather Pointまで歩きます。ここらでかなり暗くなってきたので、シャトルバスでロッジに戻ります。

さて夕食ですが、ロッジ付属のカフェテリアでもいいのですが、せっかくなのでもうちょっと豪華に行きたいです。事前に集めた情報によると、Arizona Roomsというレストランがビレッジ内にあるそうで、そこでステーキでも食べるってのが良いみたいです(^^)。

シャトルバスに乗ってBright Angelsというバス停で下ります。そのすぐそばにArizona Roomsがあります。

このレストラン、かなり盛況なようで、外で待っている人がたくさんいます。店の人に聞いてみると、45分待ちだそうです。せっかくなので、のんびり待つことにします。このあたりは空気がきれいなのと、周りに明かりがないせいで、星がたくさん見えます。時折野生のシカらしき動物が闊歩していきます。人間は自分達に害を与えないってことがわかっているんでしょうね。

ようやく自分達の番です。中はとても明るくて、いい感じのレストランです。でも5分の1くらいは日本人です(^^;)。ここでステーキを食しました。アメリカって感じのステーキでしたが、大変おいしゅうございました。

さてロッジに帰りましょう。でも、バス停に行くとやけに暗いです。あれっ? まさか最終便に乗りそこなった!? 確かさっき確認した時は最終は11pmで今は10pmちょっと過ぎ。大丈夫なはずだけどもう一度時間を確認すると…げっ! 最終は10pm !? や、やば! ここから歩いて帰るのはかなり無理です。何kmもある上、歩道に照明なんかなくて歩くのはとても危険です。うーん、どうしようかなぁと思っていると、レストランのウェイトレスさんらしき女性がバス停に来て座っています。この女性に恐る恐る聞いてみると、まだ最終じゃないそうです。あぁ良かった(^^;)。実はですね、最終の時刻は季節によって違うのですが、私がさっき「10pm」だと思ったのは別の季節の時刻を見てしまったからでした(^^;)。だって暗くてよく見えなかったんだもん(^^;)。

ロッジに戻ったらヘトヘトで、風呂入ってすぐ寝ました。

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