2002/07/23(火)

チェックライド(パート2)

7/22(月)はお休みだったのですが、その日に大変なことが起きました。夕方、KDMさんとSKMさんがやけにハイテンションでアパート内を飛び回っているかと思いきや、TVをつけて見てびっくり! なんとニュースでSkylineのSenecaが飛んでいるのが写っているではありませんか! しかもヘリから撮っているような映像で。よく見るとSenecaのノーズギアが出ていません。ええーーっ!?

どうやら、 SKMさんのmultiの訓練で飛び立ったはいいが、上空でノーズギアが出ないことが判明したみたいです。KDMさんも後席に同乗していたそうです。教官はMTR教官だったのですが、MRT教官がいろいろ試してもやっぱノーズギアが出なかったとのこと。仕方ないので、メインギアだけで着陸したみたいです。実際に着陸するまでに2時間ほどあったので、その間に取材陣が集まっちゃったらしく、おかげでカメラがその瞬間を克明に映し出しています。

スレッショルド通過、パワーを残しつつ、ノーズアップ、ゆーっくりメインギアを接地させて、プロップフェザー、プロペラが水平になって止まります。うまい! ノーズを出来る限りアップさせ続け、その後ザザザー! っとノーズをこすりながら、見事にR/Wのセンターに止まります。ひー! 残念ながら左プロペラの方はうまくフェザーにならなかったので、R/Wを叩いて曲がっちゃいましたが、それ以外は最小限のダメージで見事不時着成功! お、恐るべし!

その後、MRT教官達が無事機体から出てくる場面もカメラが捕らえています。相変わらずMRT教官は淡々としています。お、恐るべし!

そんなことがあったもんだから、夜、SKMさんの部屋に皆で集まって、MRT教官とともに各局ニュースをチェックします。どのニュースでもこの見事な着陸が絶賛されています。

MRT教官やSKMさんは取材に応じなかったのですが、KDMさんが取材陣につかまってしまい、しかたなく取材に応じたそうで、その場面がいつ出るかいつ出るか…と思っていたら、ついにあるチャンネルでKDMさんが写りました! その瞬間、皆どっかんどっかん! その場面を録画しつつ見ていたので、それを巻き戻しては何回も見直したりして、その度場内は爆笑の渦! しかもスーパーの名前が間違っていて、”Xxxxma”のはずが”Xxxxme”になっちゃってるし! KDMさん、”Not scary, not scary, no problem, as usual” なんて答えています。「明日も飛ぶのか?」という質問に”Tomorrow…of course!” 画面がキャスターに変わると「彼はまた明日飛ぶそうですが、私だったらやめときますけどね(笑)」みたいな感じでニュースは終わりです。もう、近年まれにみるくらい腹の底から笑いました(^^)。

いやー、こんなことがあるなんて(^^;)、ちょっとびっくりしましたが、誰も怪我もなく、無事生還したということで、めでたしめでたしです。あ、でも、SKMさんは明日チェックライドだったのですが、それがなくなっちゃったし、私を始め、これからmultiの訓練をする人はどうなるんでしょうか? どのくらいでSenecaが直るかによりますが、また別途計画を見直したいと思います。

さて前置きが長くなりましたが、本日は再チェックの日です。朝からとても良い天気で、これならWXの心配をすることもありません。また、既にoralや他のマニューバが終わっていることもあり、先のチェックの日より全然気分的に楽です。

本日はMorgan君のprivateのチェックの日ですが、このついでに私の再チェックも行います。これが何時からになるかわからないので、一応9時ころにはSkylineに行って待機することにします。

Morgan君のoralが終わったようです。試験官とも再会の挨拶を交わします。これからMorgan君のチェックライドが行われるとのことで、私はその後ということになります。そうですね、今10時ですから、私のフライトは11:30くらいからでしょうか。

この待っている時がやっぱり「落ち着かない」ですが(^^;)、R/Wそばのベンチでぼーっとしたりして集中力を高めておきます。

お、Morgan君が戻って来ました。結果は…見事合格! おめでとう! おっと、次は私の番です。プリフライトして試験官が戻ってくるのを待ちます。

試験官がペーパーワークを終えて戻ってきました。今度は私のフライトです。出発前のIFRクリアランスについて試験官に確認したところ「特にTRACONからIFRクリアランス取ることはしなくて良いです。また上空でもIFRクリアランスを取らなくて良いです。時間の節約のため、VFRで行きましょう。ATCの代わりは私がやります。私の指示をATCからの指示だと思って飛んで下さい」とのこと(^^)。

いつものごとく出発すると、まだupwindだってのにもうフードを被るよう指示されます。は、はや! 後は “direct to OCN VOR” です。

VORのトラッキングは完璧です(^^)。CDIは微塵もずれません。高度も指示された4500ftをビターっと保ってます。うんうん、いい感じ(^^)。

OCN VORから20nmを切りました。今のうちにASOSを聞いておきます。風は230°から7kt、SKCです。COM1はここらへんのAPPの周波数にしておきます。COM2はOKBのCTAFにセット。NAV1はOCN VORのまま、NAV2はMZBの344°にセット。DMEはOCN、マーカは必要なし。

試験官の指示に従って高度を3500ft、2800ftと落とします。ここでVORアプローチのクリアランス(?)が出ました。

VOR通過後、paralell entryでホールディングパターンに入り、OCN VORに090°のコースでinbound。おっと、ちょっとコースに乗るのが遅いかな? でも落ち着いて。ここでpartial panelにされます。

コースに乗ったとたんにもうVORの直上です。でも慌てないで、ここからターン(096°)、タイム、チューン(096°ラジアル)、スロットル(降下)です。CTAFでローアプローチする旨通報して、後はVORをトラッキングします。うんうん、いい感じ(^^)。CDIは微塵もずれません。降下率は800fpm、エアスピード90kt。コンパスの揺れもなく、ヘディングはほぼ096°を保っています。とってもいい感じ(^^)。

MDAの1140ftでレベル。タイマとDMEでMAPを確認して、外を確認。R/Wの真上です(^^)。ではここからmissed approach…と思ったら試験官から「circle-to-landして下さい」と指示されます。うっ(^^;)。

OKBのcircle-to-landはR/Wの北側に設定されていますので、R/W 24へはright traffic patternとなります。この位置からだと一旦左旋回して西側からright downwindに入れば良さそうです。R/Wを確認しつつ降下を続けて左旋回しようとすると「OK! ではRNMに帰りましょう」です(^^;)。ふぅ。

試験官は “Much much much better than the last check!” と言っています。てことは今回のVORアプローチは問題なかったってことですね。やれやれ、ちょっとホッとします。

フードを取るよう指示されて、ここからはいつもと同じようにRNMに帰ります。ところが試験官が、「お疲れさん。ここからは私が操縦するから、あなたはリラックスして外の景色でも楽しんでいて下さい」とのこと(^^)。ではお言葉に甘えて、鼻くそほじりながらリラックスします(←いや、それはリラックスしすぎだろ)。

Escondidoのあたりまで3500ftで来て、ここから降下開始するみたいです。試験官にRNMのCTAFを教えてあげると(^^;)、試験官がラジオまでやってくれて降下して行きます。きっとこのラジオを聞いている人は「あれっ? なんで試験官がラジオをやっているのかな? まさか…」と思ったかもしれません(^^;)。試験官は時間を節約するためでしょうか、降下率はビターっと500fpmですが、エアスピードを120ktくらいでダーっと降りて行きます。その間も微妙にスロットルを調整してrpmを整えています。うーん、そういう手もあるんですね。勉強になりました。

というわけでRNMに戻ってきました。R/WそばのベンチでNRKが待っているのが見えます。試験官に “Raise your big thumb” とか言われましたので、でっかく「イェーイ」です(^^)。

飛行機を止めると、試験官が “Congratulations!” と言って握手してくれます。あぁ、感動の瞬間です。外に出るとSZK教官とNRKが駆け寄ってきます。ここでも「イェーイ」です(^^)。やったぜぃ!

ブリーフィングでは「とてもすばらしい出来です。機体のコントロールもVORのトラッキングも全く問題ない。excellentです。」を頂きました。

後はペーパーワークをして、今までのcertificateの代わりにテンポラリをもらいます。そこには光り輝く “Instrument” の文字が(大げさ)。privateの時もそうでしたが、自分に課して積み上げて来た結果がこのように形になるとなかなか感動的ですね。

渡米から2ヶ月弱。実質1.5ヶ月ほどしか飛んでいないですが、その間にほぼ予定通りinstrument ratingを取得することが出来ました。これもひとえにSZK教官のご指導の賜物であり、Skylineのスタッフ、訓練生仲間、皆様の暖かい応援のお陰であります。最後に、生活全般において私をサポートし、最良の訓練環境を作ってくれたNRKに改めて感謝したいと思います(^^)。

おしまい(「Commercial Pilot編」につづく)

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