2001/10/08(月)

座学・パターンフライト。ところが…(続き)

さて、いつもより高めにファイナルを回って、ショートファイナルまではいつもと一緒。いい感じです。ショートファイナルでエアスピードを87mphに落とします。おっ、こんな感じかな。よし、このままパワーを絞りつつ、フレア、フレア、フレア…あ、沈み込みがちょっと速いか? フレア! ノーズアップ! あ、あ! あっ!

このあとMulti-Engine Rating編に衝撃の結末が!

ノーズアップにもっていく途中で、しかも沈み込みがおさまらないうちにハードランディング気味でR/Wにタッチダウンしました。と、

ガチャーン! バキバキ! ズザザザザーーー!

やばい! ノーズギアが完全に折れてしまい、つんのめった体勢でノーズカウルをR/WにこすりつつR/W上を進んで行きます! ノーズが落ちたのでプロペラがR/Wを叩いて完全にひん曲がっています! あまり効かないですがブレーキをかけてなんとかR/Wの左端に向うようにします。これが効いたのかどうか、機体は少しずつ左に寄って行きます。

ズザーーーザザザザ…シーン

や、や、や、や、やってもうた! なんてこった! すぐにMRT教官が「怪我はありませんか!?」と確認してくれます。二人とも怪我はないのですが、私はかなり動揺しています。そんな中、教官はすぐに電気系統のスイッチを切ってMaster SWも切るよう指示します。出火の危険がないことを確認して、再度Master SWを入れて、教官がUNICOMに「Nose gear broken」を報告しています。

ともかく飛行機を降ります。他のトラフィックが次々とGo-aroundして行くのが見えます。R/Wの両側からFBOの人達が何人も走ってやってきます。皆でテールを押さえつけてノーズを上げ、一人がノーズギアを元に戻して、まずは通常の形に戻します。でもこれは仮にこうしているだけです。

そうこうしているうちに警察(?)の車や、消防車までがR/Wにやってきます。警察の人(制服は着てないけどパトカーできたのでたぶん)が二人(男女)来て、「FAAの許可が下りるまではこれを動かしてはならない」とか「Control malfunctionではないのでNTSBはやって来ないけど」とかなんとか。彼らに教官が状況を説明します。

結局Senecaはこのままにして、我々はSkylineに戻ることにします。FBOのおっちゃんが車で送ってくれました。

MRT教官は「こうなってしまったのはもう仕方ないです。何より怪我がなくて良かった。あの状況では自分がGo-aroundさせるべきでした。でもあれくらいのタッチダウンでは全然問題ないはずなんですけどね。自分がPICだったのに申し訳ない」と言ってくれます。そうはいうもののその瞬間操縦桿を握っていたのは私なわけで、ちょっと涙が出るくらい申し訳なく、くやしい気持ちでいっぱいです(;_;)。

このincident (accident?)を聞きつけた米国人教官もやってきましたが、その教官曰く「(Ramonaじゃなく別の空港で) Senecaは数ヶ月前にもノーズギアを「やって」しまった事故がある。AD (Airworthiness Directive)にもノーズギアがなんたらかんたらあって、構造的に問題があるのかもしれない。FAAの試験官(JC)も『Senecaはあまり好きではない』と言っていた」だそうで。今回の事故がハードランディングだけが原因でないのだとすればちょっとは救われるのですが。

教官曰く「機体は調べてみないとわからないが、ノーズとプロペラの修理で大丈夫でしょう。これらはもちろん保険でまかなわれるのでKHさんは心配することないですよ。それよりもこれで訓練ができなくなっちゃったので、今回の休暇でMulti取得ってのはできなくなっちゃいました。こんな形でつまづかせてゴメンナサイ」とまたまたこちらを気遣ってくれます(;_;)。

しばらくすると、Senecaがもう移動されてR/Wクリアになったせいか、私と同じ時間にパターンで飛んでいた他の飛行機が帰ってきました。どこか別の空港に行って待機していたようです。他の教官も事務所に入るなり「大丈夫でしたか? 怪我はありませんか?」と心配してくれます。う、うっ、その気遣いがとてもありがたいです。他の訓練生も、まず怪我がなくて良かったと言ってくれます。

本事故は、法的にはPICは教官なので(私はStudent)、私の事故歴にはならないそうです(ひょっとしたら参考程度に事情聴取されるかも)。てことは教官に…。法的にはそうであっても道義的にやっぱ責任を感じてしまいます。MRT教官はひたすら「KHさんは何にも悪くないですよ」って言ってくれます。更に「自分もこういう経験は初めてなので良い経験です。KHさんもこの経験を生かして、より安全なパイロットになってくれれば良いんですよ」と。おっしゃる通り、ここはぐっと気持ちを切り替えたいと思います。

そうすると、Multiの訓練をどうするか? ですが「冬休みに続きをやりたい」旨希望を伝えました。教官曰く「それはポジティブで良いですね。精神的ダメージがないようで良かった」とのこと(^^;)。Senecaの修理の進捗にもよりますが、まぁ冬休みにはOKでしょうということでした。

さて、それでは残りの日をどうするか? ですが、教官と相談しましたが、

  • 別のスクールに移ってMultiの訓練を続ける。
  • 教官同乗でWarrior・Arrowでクロカンに行く。(※)
  • その他教官同乗なら何でもOKなのでお好きに。
  • 観光にでも行く(^^)。

(※9.11直後だったので、Private Pilotは教官同乗じゃないとクロスカントリーに行ってはダメだったと記憶しています。)

というような選択肢がありそうです。ここに来て別のスクールというのはちょっと考えられないし、クロカンにだけ行くのも芸がない(^^;)。

そこで、せっかくあと5日もあるのでInstrumentをやってみよう! ということにしました。Warriorを使って(フードを被って) IFRの手順や実際にILSアプローチしてみる、などです。わぉ、これは面白そう! (←面白がっている場合じゃない。)

というわけで、本日は終わりです。と同時に「Multi-Engine Rating編」はひとまずここで中断です。「中止」ではありません。あくまで「中断」です。確かに今回のことはショッキングですが、私は絶対あきらめません。

応援して頂いた皆様、今回はちょっと意外な結末に終わってご期待にそえませんでしたが、引き続きの応援をよろしくお願いします。

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